伊豆諸島シンポジウム

日曜日は甲虫学会があり話題が伊豆諸島なので、面白そうなので行ってきた。

公開シンポジウムは概要説明などもあり討論会ができなかったので残念だったが、岸田さんのオナガミズアオの話など面白かった。伊豆諸島にはオオミズアオは生息しておらず羽が丸みを帯びる独特の形態をしたオナガミズアオしかいないそうだ。でオスのゲニも本土のものと違うのだが、伊豆大島オナガだけは形態的には伊豆諸島、ゲニだけ本土の個体群と変わらないらしい。

クワガタ、コガネ関係は九大の荒谷さんの公演だったが、ミクラミヤマは元来は遺存固有と考えられてきたが、海流分布で入ってきてのではないだろうかとの考えを発表していた。この説は非常に共感できる。私の場合はもっと漠然とした考えだが、生き物なんて何がきっかけで侵入してくるかわからない偶然性というか過去に大陸で考えられないような河川の大氾濫や津波で流れてきたかもしれないし、思った以上に虫は生命力が強いので、たまたま神津島御蔵島に流れてきたミクラミヤマの祖先種がウマく偶然に定着できたのではないだろうか。三宅島や新島とかでも流れ着いてきた可能性はあるかもしれないが定着できなかっただけかもしれない。藤田さんはあまり、わかっていないようだが神津と御蔵ではミクラミヤマ自体が形態的な差(神津の個体群は少し光沢が強くて体は強壮かつ平均的体長が長い)があると思うし、神津も御蔵も南部と北部で黄紋型がでる地域と出ない地域でクッキリと別れるので、荒谷さんの言うように複数の個体群、もしくは侵入年代も微妙に違うのかもしれない。ノコギリクワガタも例えば伊豆大島薩南諸島にいるような光沢が強く全体的に細身な個体や伊豆諸島らしい太短い個体などもみられるし、何段階かに別れて侵入していると思う。ミクラミヤマだけでなくノコギリクワガタ伊豆大島の個体群も含めサンプル解析をもっと増やしていくべきではないだろうか。何系統ぐらいを解析しているか知らないが、もっとサンプルを増やしていけば面白い結果が出るのような気がする。

またノコギリは遺伝的系統は同じなのかもしれないが、確実に脚も短くて、平均体長も小さくなる三宅島(伊豆大島から連続的に移行していき、三宅島の個体群は完成型)、でもそれに反して脚が細くなり真逆の進化のベクトルを行く御蔵島(利島が強いて言うならば近い形態の個体群)、そして種とされるぐらい特徴的な八丈島の個体群。本当に微妙なんだけど、理解するまでが大変なんだけど、とっても面白い地域なのです。伊豆諸島に興味がある人は是非、自分自身で確かめてみてください。